タイ地域医療保健研修
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神経ボレリア症の長期予後はほぼコントロール群と変わらない
ハマダラカ

ライムボレリア症(Lyme borreliosis)はダニによって媒介されるBorrelia burgdorferiによって起こる細菌性疾患である。神経ボレリア症(Neuroborreliosis)は症例の約10%に見られる。神経ボレリア症では、顔面神経麻痺、リンパ細胞性髄膜炎、神経根炎等が発現する。6週から12週の間に起こることが多い。髄膜脳炎は高齢者に多く、数か月に渡りゆっくりと神経根障害、疼痛を生じるが、抗菌薬治療により軽減する。神経ボレリア症の長期予後に関する研究が発表された。1986年から2016年の間、神経ボレリア症と診断されたデンマーク人を対象にレトロスペクティブに解析が行われた。神経ボレリア患者およびその家族の30年におよぶ死亡率はコントロール群と変わらなかった。しかし、新しく診断された血液疾患の率はボレリア群で3倍高値であった。加えてNonmelanomaの皮膚癌の発生率が50%高値であった。ボレリア群では2年を超えた後は外来、入院での加療の頻度はコントロール群と変わりなかった。

写真出典:Wikimedia Commons

BMJ 2018 May 30; 361

#日本ではまれなライム病ボレリア症です。晩期の神経障害に対しても抗菌薬投与が効果的とされています。また今回長期予後が悪くないとのレポートがでたこともあり、積極的な治療が推奨される流れになるのでは、と考えています。

環状切除術が水腎を呈する乳児(男児)の尿路感染の頻度を減らす

米国では風習により約70%の男児が新生児期、乳児期に環状切除術を受けると報告されている。イスラム教やユダヤ教では、宗教上の信条から新生児、乳児期に割礼を行っているが、ヨーロッパや日本ではほとんど施行していない。

この度、水腎を伴う男児において、環状切除術が尿路感染の頻度を減らすという報告が出された。この研究では2007年から2015年の間、5560人の男児および11120人のコントロール群において比較を行った。全体では水腎をきたす男児の43%に、コントロール群の52%に環状切除術が施行された。1年目の尿路感染の発症率は水腎患児では12%、コントロールでは1%であった。

水腎患児では、尿路感染に罹る割合は環状切除後6.1%に対して、非切除群では16.2%と環状切除群で有事に低下していた (6.1% vs. 16.2%; odds ratio, 0.36)。非水腎の男児においても環状切除群における尿路感染率は減少している(0.6% vs 1.8%; OR 0.32)。環状切除の尿路感染率減少の効果は全ての水腎のタイプに認められた (isolated, posterior urethral valves, ureteropelvic junction obstruction, ureteroceles, vesicoureteral reflux, and other)。

Pediatrics 2018 Jun 7

#日本ではあまりなじみのない(どちらかというと悪いとされている)男児の環状切除ですが、複雑性尿路感染に対しては効果がありそうです。驚きました。

2018年マヒドン大学熱帯医学短期研修
期間:2018年12月17日(月)~21日(金)
GMS会員】eラーニング
マヒドン大学熱帯医学短期研修の講義を中心に、熱帯医学、渡航医学、感染症に関する動画や、マラリアや消化管寄生虫クイズなど、わかりやすい教材で効率的に学習できます!以下、eラーニングの一部です。
※GMSeラーニングは、会員限定のコンテンツです。

1)2017年マヒドン大学熱帯医学短期研修講義
 ①Overview of Major Intestinal Protozoa infection
  Prof. Yaowalark
 ②渡航医学講義 Dr. Wacharapong
 ③Case discussion Melioidosis
  Dr. Wirongrong and Dr. Hadano.......他
2)消化管寄生虫を用いた地域診断
3)渡航前のワクチン接種東南アジア編...他

サンプル映像は、2017年マヒドン大学熱帯医学短期研修
「消化管寄生虫症概論」Prof.Yaowalarkです。

GMSe-ラーニングでは、マラリアや消化管寄生虫など、顕微鏡での特徴をクイズ形式で解説いたします。典型例を分かりやすく原虫別に出題していきます。これらの画像は、「マヒドン大学熱帯医学部出版(英語)の寄生虫アトラス」から抜粋したものと、実際の顕微鏡の画像を混在して入れています。実臨床では教科書画像のように分かりやすい画像とは限らないので、注意が必要です。
※GMS会員登録で、マヒドン大学熱帯医学部出版(英語)の寄生虫アトラス(Atlas of Medical Parasitology)が500円引になります。

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マヒドン大学
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マヒドン大学は熱帯医学領域ではアジアのリーダーとして教育に力を入れています。マヒドン大学熱帯医学短期研修は、講義、ワークショップは大学の第一線の臨床医、研究者が担当し、実際のベッドサイドラウンド、顕微鏡を使った消化管寄生虫、マラリア診断など実践的な研修です。
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途上国および日本の地域医療、保健、研究に携わる医療従事者を支援するネットワークです。人が集まり、繋がり、情報交換をすることで、若い医療従事者の教育、キャリアを支援します。ホームページでは主に、海外、日本の地域でのセミナー、就職、留学情報を多く提供しています。
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ATLAS OF MEDICAL PARASITOLOGY
医療分野や医療分野の専門家は、世界の重要な寄生虫をカバーしています。原生動物、線虫、爬虫類、爬虫類、節足動物、節足動物の各データベースには、形態学、生活環、地理的分布、症状、予防などの情報が含まれています。
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